残暑見舞いを送りたいけれど、どのように書けばよいか迷っていませんか?
形式やマナーに加え、相手との関係性に合った言葉選びに悩む方も少なくありません。
本記事では、誰でも使える残暑見舞いの基本構成から、送る相手別の文例、気をつけたいマナーまで、初めての方にもわかりやすくご紹介します。
あなたの気持ちが伝わる一通を届けるために、ぜひ参考にしてみてください。
目次
残暑見舞いの基本構成
形式ばった文章に慣れていなくても、基本の構成を押さえておくことで、自然で丁寧な文面を書くことができます。
残暑見舞いは、以下の4つの要素から構成されます。
- お見舞いの挨拶
- 主文
- 結びの挨拶
- 日付
ここでは、それぞれの要素がどのような役割を持ち、どのように書けばよいかをわかりやすくご紹介します。
お見舞いの挨拶
残暑見舞いの書き出しは、「残暑お見舞い申し上げます」または「残暑お伺い申し上げます」といった表現を使うのが一般的です。
ただし、目上の方へ送る場合は注意が必要です。「見舞う」という言葉は、目下または対等な相手に対して使うため、目上の方には「残暑お伺い申し上げます」を選ぶとよいでしょう。
また、本文よりもやや大きめの文字で書くのが一般的で、句点「。」は付けないのがマナーです。
主文
主文では、まず時候の挨拶から始め、そのあとに相手の体調を気遣う言葉や自分の近況を添えるのが基本です。
残暑見舞いを出す時期は、厳しい暑さが続く一方で、暦上ではすでに秋に入っています。そのため、時候の挨拶では、秋の始まりを感じさせる表現を取り入れると、季節感のある挨拶になります。 さらに、相手の住む土地柄や気候に合わせた表現にすると、より心遣いが伝わるでしょう。
また、主文には、日頃の感謝を伝える一文を加えるのもおすすめです。
結びの挨拶
結びの挨拶として本文の最後には、残暑見舞いの主旨である、相手の体調や健康を気遣う言葉、または無事を祈る言葉を入れましょう。
たとえば、「残暑厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ」や「夏のお疲れがでる頃ですので、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください」といった言葉が適切です。
親しい相手には「またお会いできる日を楽しみにしています」のような、やわらかい言葉を使っても問題ありません。
日付
残暑見舞いの結びには、日付を「和暦+季語」の形で記載します。
この際、具体的な日付は書かず、残暑見舞いでは「立秋」「晩夏」「葉月」などの季語を用いるのが一般的です。
季語の意味は、以下のとおりです。
立秋:暦の上で秋の始まりとされる日(8月7日頃)
晩夏:夏の終わりを表す季語
葉月:旧暦で8月にあたる月の名称
たとえば、「令和〇年 晩夏」や「令和〇年 葉月」といった形になります。
送る相手別|すぐに使える残暑見舞いの文例9選
残暑見舞いは、送る相手との関係性に合わせて文面を調整することが大切です。
ここでは、「目上の方」「友人や親しい間柄」「取引先」の3つのケースに分けて、それぞれにふさわしい文例とそのポイントを紹介します。
目上の方に送る場合
上司や恩師など、敬意を払うべき相手には、格式を重んじた丁寧な文章が適しています。
敬語を適切に用い、相手に失礼のない表現を心がけることが大切です。
文例1:
残暑お伺い申し上げます 立秋を過ぎてもなお厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 おかげさまで私どもは変わらず元気に過ごしております。 残暑厳しき折、どうぞご自愛のほどお願い申し上げます。 令和〇年 立秋 |
文例2:
残暑お伺い申し上げます 朝夕にわずかな涼しさが感じられるようになってまいりましたが、日中はなお暑さが続いております。 ご家族の皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと存じます。 わたくしも、おかげさまで大過なく過ごしております。 ご健康には十分ご留意のうえ、お健やかにお過ごしくださいませ。 令和〇年 葉月 |
文例3:
残暑お伺い申し上げます 暦の上では秋になりましたが、厳しい暑さが続いております。皆様お健やかにお過ごしでしょうか。 私自身は、おかげさまで体調を崩すこともなく、平穏に日々を送っております。 本年は実家へ帰省する予定でございます。もし先生にご都合が許すようでしたら、この機会にぜひご挨拶かたがたお目にかかれればと存じます。 その際は改めてご連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 今夏は例年以上の厳しい残暑が続いております。何卒ご健康にご留意くださいませ。 令和〇年 立秋 |
友人や親しい間柄に送る場合
気心の知れた友人や家族には、かしこまりすぎず、親しみやすさを出すとよいでしょう。
季節の話題やちょっとした近況を交えながら、心を込めて伝えてみてください。
文例1:
残暑お見舞い申し上げます 暦の上では秋となりましたが、まだまだ厳しい残暑が続いていますね。〇〇さん、お元気でお過ごしでしょうか。 おかげさまで、私たちは何とか暑さに負けず元気に過ごしています。 季節の変わり目ですので、どうぞご無理なさらないでくださいね。また近いうちにお会いできるのを楽しみにしています。 令和〇年 葉月 |
文例2:
残暑お見舞い申し上げます 立秋とはいえ、今年の猛暑はひときわ厳しいですね。〇〇のことだから、この暑さでも頑張りすぎていないか、ちょっと心配しています。 この夏、私は〇〇へ出かける予定です。来年は一緒にどこか行けるといいですね。 健康には気をつけて、残りの夏を楽しんでください。 令和〇年 晩夏 |
文例3:
残暑見舞い申し上げます 〇〇、元気にしてますか? 立秋とはいっても、まだまだ厳しい残暑が続きますね。 最近、私は〇〇(近況を具体的に一言)で楽しく過ごしています。 〇〇も夏バテしないよう、美味しいものをたくさん食べて元気に過ごしてくださいね。令和〇年 立秋 |
取引先に送る場合
取引先への残暑見舞いでは、日頃のご愛顧への感謝と、今後の変わらぬご厚誼を丁寧にお伝えすることが大切です。また、自社の近況や自身の業務状況にさりげなく触れることで、信頼関係を深めるきっかけにもなります。
文調はややかしこまったものを心がけ、相手への敬意と感謝の気持ちが誠実に伝わるよう配慮しましょう。
文例1:
残暑お見舞い申し上げます 厳しい暑さが続くなか、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 私どもも、より質の高いサービスをご提供できるよう、いっそう精進してまいる所存です。 今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 令和〇年 葉月 |
文例2:
残暑お見舞い申し上げます 立秋を過ぎてもなお、厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 おかげさまで先日のプロジェクトも順調に進んでおります。これもひとえに皆様のご協力のおかげと深く感謝申し上げます。 猛暑が続きます折、皆様のご健康と貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。 令和〇年 立秋 |
文例3:
残暑お見舞い申し上げます 立秋を過ぎてもなお、連日の猛暑が続いておりますが、〇〇様におかれましてはお変わりなくお過ごしのことと存じます。 先日は〇〇プロジェクトに関しまして、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。 今後も引き続きスムーズな進行に努めてまいりますので、何卒ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ。 令和〇年 立秋 |
残暑見舞いを書くときに気をつけたいマナー
残暑見舞いは、単に暑さをねぎらうだけでなく、日頃お世話になっている方への感謝や心遣いを伝える大切な機会です。だからこそ、基本的なマナーを守ることが、良好な関係を築くうえでも欠かせません。
ここでは、残暑見舞いを送る際に押さえておきたい以下の4つのポイントをご紹介します。
- 送るタイミング
- はがきの選び方
- 手書きか印刷か
- 宛名の書き方
どれも、相手に対する配慮を形にするための大切なポイントです。ぜひ確認して、心のこもった一通を送りましょう。
送るタイミングの目安
残暑見舞いは、暦のうえで秋が始まる立秋(8月7日〜8日頃)以降に送るのが基本です。これは、立秋を境に「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へと呼び方が変わるためです。
また、一般的には、二十四節気の「処暑」(例年8月23日頃)までに、遅くとも8月末には届くように送るのがひとつの目安とされています。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
関連記事:残暑見舞いを送る正しい時期は?暑中見舞いとの違いやマナーも解説
はがきの選び方
残暑見舞いは、はがき自体もメッセージの一部です。季節感を大切にするなら、朝顔や金魚、風鈴、うちわなど、夏の終わりを感じさせる涼しげな絵柄や色使いのものを選ぶと、文章に添えて季節の趣や涼やかな心遣いが伝わり、受け取った方もきっと和むでしょう。
ビジネスで送る場合は、控えめで落ち着いたデザインがおすすめです。派手すぎず、清潔感のあるトーンを意識すると、どんな相手にも失礼なく、好印象を与えられます。
手書きか印刷か
手書きの残暑見舞いは、やはり温かみがあり、受け取る方によい印象を与えます。特に親しい方や目上の方に送る場合は、手書きのはがきがより気持ちのこもったメッセージとなるでしょう。
とはいえ、会社関係で大量に送る場合などは、印刷でも全く問題ありません。
その際も、可能であれば自筆で一筆メッセージを書き加えると、より丁寧な心遣いが伝わります。
宛名面の書き方
残暑見舞いのはがきを送る際は、宛名面の書き方にも気を配りましょう。
以下のポイントを押さえて、丁寧に記載してください。
- 宛先住所
都道府県から省略せずに記載するのがマナーです。 - 数字
縦書きの場合は漢数字(一、二、三)、横書きの場合はアラビア数字(1、2、3)を使いましょう。 - 敬称
個人名には「様」、会社や部署宛てには「御中」を用います。
恩師や医師には「先生」が一般的ですが、親しい間柄であれば「様」でも問題ありません。
連名で送る場合は、それぞれの名前に「様」を付けて記載します。
ビジネス文書では、「◯◯株式会社 御中」や「 ◯◯株式会社 ◯◯部 部長 ◯◯様」など、敬称を正しく使うことが大切です。社名は「(株)」と略さず「株式会社」と記載しましょう。
なお、差出人情報も忘れず、住所・電話番号・氏名を明記するのがマナーです。
まとめ|丁寧な言葉で、夏の終わりのご挨拶を
残暑見舞いは、相手への気遣いや礼儀を形にして伝える日本の美しい文化です。
基本構成を押さえ、送る相手に合わせた文面を心がけるだけで、形式ばらずとも思いのこもった一通になります。さらに、マナーや時期、書き方の細部にも目を向けることで、相手に「丁寧さ」がしっかり伝わるでしょう。
暑さが残る時期こそ、心のこもった残暑見舞いを通じて、夏の終わりのご挨拶を届けてみませんか。