日本には、毎年夏にご先祖様を迎える「お盆」という昔ながらの風習があります。
家族での帰省や旅行を計画するにあたって、2025年のお盆の日程や、地域による違いを確認したいと考える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年のお盆の日程をはじめ、お盆の意味や風習、地域ごとのしきたりの違いまで詳しく解説します。夏の予定を立てる際の参考にしてください。
目次
お盆はいつ?|2025年のお盆の日程
お盆の時期は、ご先祖様を迎えるために多くの人が帰省や旅行の予定を立てる期間です。しかし、お盆は祝日ではなく、カレンダーにも明記されていないため、日程がわかりにくいと感じる方も多いでしょう。
ここでは、2025年のお盆の日程に加え、「新盆」と「旧盆」の違いについても、わかりやすく解説します。
- 2025年のお盆は8月13日から8月16日まで
- 新盆と旧盆の違い
2025年のお盆は8月13日から8月16日まで
2025年(令和7年)のお盆は、8月13日(水)から8月16日(土)までの4日間です。
【2025年8月第3週のカレンダー】
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|
11 山の日 |
12 | 13 お盆 |
14 お盆 |
15 お盆 |
16 お盆 |
17 |
なお、お盆明けの8月17日は日曜日にあたるため、13日(水)から17日(日)までの5日間をお盆休みとする企業も多いと考えられます。
お盆の時期は、交通機関の混雑や宿泊先の予約が集中する時期です。家族での帰省や旅行を考えている場合は、早めに計画を立てることをおすすめします。
余裕をもって準備を進め、落ち着いた気持ちでご先祖様を迎えましょう。
新盆と旧盆の違い
お盆には、7月におこなわれる「新盆(にいぼん)」 と、8月におこなわれる「旧盆(きゅうぼん)」の2種類があります。なお、「新盆」は地域によって、「あらぼん」「しんぼん」「にゅうぼん」などと読まれる こともあります。
関東の一部地域では、7月13日から16日におこなう新盆が主流 です。一方で、全国的には8月13日から16日におこなわれる旧盆 が一般的とされています。
なお、「新盆」と「旧盆」という呼び方は時期の違いを示すものであり、供養の内容や行事そのものに大きな差はありません。お盆の過ごし方や風習が異なるのは、地域ごとの伝統や宗教的な背景によるものが大きいといえます。
自分の住む地域や帰省先でどちらの時期が主流なのかを確認しておくと、適切な準備ができるでしょう。
お盆とは|ご先祖様を迎える日本の伝統行事
お盆とは、ご先祖様の霊を迎えて供養する、日本に古くから伝わる伝統行事です。
その起源は、仏教の経典『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』 にあるとされています。お釈迦様の弟子のひとりである目連(もくれん)尊者が、亡き母を供養して功徳を積んだことで、母が極楽往生を果たしたという説話 がもとになっています。
この仏教の教えと、日本古来の祖霊信仰が結びつき、現在の「お盆」の形 となっていきました。
お盆の期間中には、ご先祖様を自宅に迎える「迎え火」や、感謝の気持ちを込めた「お墓参り」などがおこなわれます。また、盆踊りや精霊馬(しょうりょううま)など、地域ごとの風習も受け継がれています。
お盆は、家族や親戚が集まり、命のつながりやご先祖様への感謝を改めて感じる大切な機会です。
お盆には何をする?
お盆は、ご先祖様の霊を迎え、感謝の気持ちを伝える行事であり、その方法は地域によってさまざまです。
ここでは、お盆におこなわれる代表的な儀式や風習について、詳しく解説します。
- 迎え火・送り火
- 精霊馬(しょうりょううま)
- お墓参りの意義
- 盆踊りの由来と意味
迎え火・送り火
迎え火と送り火は、ご先祖様の霊があの世とこの世を行き来する際の道しるべの役割 を果たします。
迎え火は、ご先祖様が迷わず家に帰ってこられるように8月13日の夕方におこない、送り火は、ご先祖様があの世へ無事に戻れるように8月16日の夕方におこないます。
火を灯す際は、家の玄関先でおがら(麻の茎) を焚く のが一般的です。
精霊馬(しょうりょううま)
精霊馬とは、きゅうりやなすに割り箸や爪楊枝で足をつけてつくる、ご先祖様の乗り物を模した飾りです。
きゅうりの馬には「早く帰ってきてほしい」、なすの牛には「ゆっくり戻ってほしい」という願いが込められています。
仏壇の手前にある精霊棚や台の上に飾られるのが一般的 ですが、地域によっては、送り火や迎え火を焚く際に、門や玄関先に飾る場合もあり ます。
お墓参りの意義
お盆期間中のお墓参りは、ご先祖様の霊を敬い、感謝の気持ちを伝えるとともに、子どもたちに命の尊さを伝える大切な機会でもあります。
また、静かな場所で手を合わせるひとときは、自分自身と向き合い、心を整える時間にもなるでしょう。
家族で墓地を訪れ、墓石を清掃し、花や線香を手向けることで、ご先祖様とのつながりを実感できます。地域や家庭によっては、お菓子や果物などの供え物を用意する風習も見られます。
お盆にふさわしいお供え物や、お菓子の選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事: お盆のお供えにお菓子がおすすめな理由は?選び方やマナー、相場を解説
盆踊りの由来と意味
盆踊りは、お盆の時期に各地でおこなわれる伝統行事で、ご先祖様の霊を慰めるために始まったとされています。
その起源は、念仏を唱えながら踊る「念仏踊り」にあります。念仏踊りと、仏教の経典『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』に由来するお盆の教えが結びつき、盆踊りとして日本各地に広まっていきました。
現在では、ご先祖様への感謝を表すだけでなく、世代を超えて参加できる地域の交流の場としても広く親しまれています。
地域ごとのお盆のしきたりの違い
お盆は全国的におこなわれる行事ですが、その内容は地域ごとに違いがあります。
ここでは、東北・東京・京都・広島・沖縄の特徴的なしきたりを紹介します。
- 東北のお盆|迎え火・送り火と素朴なご先祖供養
- 東京のお盆|7月盆とシンプルなお供え
- 京都のお盆|五山の送り火と伝統的なしきたり
- 広島のお盆|盆灯篭に込められた送り火の文化
- 沖縄のお盆|旧盆に受け継がれる祖先供養
なお、ここで紹介する内容はあくまで一例であり、全ての地域や家庭に当てはまるものではないことをご承知おきください。
東北のお盆|迎え火・送り火と素朴なご先祖供養
東北地方では、8月13日から16日にお盆をおこなう 地域が多く見られます。
お盆の時期には多くの家庭で一斉に迎え火や送り火が焚かれ、 地域全体でご先祖様を迎え入れる雰囲気がつくられます。また、お盆の前には墓地を丁寧に掃除し、ご先祖様を迎えるための準備に時間をかける傾向 があるのも特徴です。
地域のつながりが今も深く根づいており、近所同士でお供え物を分け合ったり、家々を回って供養する風習 が残る地域もあります。
東京のお盆|7月盆とシンプルなお供え
東京では、全国の多くの地域と異なり、7月13日から16日にお盆を迎える「7月盆」が主流 です。
住宅が密集する都市部では、迎え火や送り火は控えめにおこなわれる傾向があります。
仏壇や盆棚の飾りも、住居の広さや様式に合わせてシンプルに整える家庭が多く見られます。それに伴い、お供え物も品のある果物や菓子など、簡素なものが中心となりやすいです。
都会のライフスタイルに合わせ、形式にとらわれず、気持ちを大切にした供養が東京のお盆の特徴といえるでしょう。
京都のお盆|五山の送り火と伝統的なしきたり
京都では、8月16日におこなわれる「五山の送り火」が、お盆の行事として全国的に知られています。これは、ご先祖様の霊を送るために、5つの山でかがり火を焚く伝統行事です 。
また、仏壇や精霊棚の飾り付け、供物の配置などにも地域や家庭ごとに受け継がれてきた作法が見られ、 古くからの習わしを今も大切にしている家庭が多いのが特徴です。
さらに、お盆の期間中には、僧侶を招いて自宅で読経をしてもらう「棚経(たなぎょう)」をおこなう風習 も根づいています。
広島のお盆|盆灯篭に込められた送り火の文化
広島には、「盆灯篭(ぼんとうろう)」と呼ばれる色とりどりの紙灯篭を墓前に飾る風習があります。
灯篭の明かりは、ご先祖様の霊が迷わず帰ってこられるよう導く役割を果たしています。
灯篭の色にも意味があり、カラフルな盆灯篭は毎年のお盆で使用され、明るく華やかな雰囲気でご先祖様を迎えるためのものです。一方で、白い盆灯篭は、故人が亡くなって初めて迎えるお盆(初盆)に用いられ、特別な供養の意味を持つとされています。
沖縄のお盆|旧盆に受け継がれる祖先供養
沖縄では、旧暦の7月13日から15日におこなわれる「旧盆」が主流で、「ウンケー」「ナカビ」「ウークイ」の3日間で構成されます。
初日は霊を迎える日、中日はもてなしの日、最終日は霊を送る日とされ、それぞれの日に特別な料理や儀式がおこなわれます。
また、伝統舞踊のエイサーも旧盆に欠かせない存在です。ご先祖様の霊を供養するために、青年たちが太鼓や三線に合わせて勇壮に踊りながら、地域を練り歩きます。
まとめ|お盆に込められた想いを大切に受け継ぐために
お盆とは、ご先祖様の霊を迎えて供養する日本の伝統行事です。
お盆の期間中におこなわれる送り火やお墓参り、盆踊りなどには、長い歴史と深い想いが込められています。こうした風習の意味を正しく理解し、地域や家族のしきたりに合わせて過ごすことが大切です。
年に一度であっても、ご先祖様とのつながりに思いをはせる時間は、忙しい現代社会のなかで心の安らぎや家族の絆を深めるきっかけにもなります。
ご先祖様を想う気持ちを大切にし、お盆の伝統や風習を次の世代へと受け継いでいきましょう。